2023年

11月

10件

編集部の総括

絶好調のOpenAIでクーデター勃発

11月1日から2日にかけて、英国でAI安全サミットが開催。米中を含む28か国がBletchley宣言に署名した。

6日、初のDevDayでOpenAIはGPT-4 TurboとGPTsを発表。開発者たちからは歓声があがった。

15日にはケンブリッジ辞典が「今年の言葉」にhallucinateを選んだ。AIがもっともらしい誤りを作る現象を指す語義は、この年に加わったばかりだった。

ところが17日、突如としてOpenAIの取締役会がCEOのサム・アルトマンを解任。筆頭の出資者であるMicrosoftはアルトマンの受け入れを表明。社員約700人が取締役会の辞任を求める書簡に署名し、22日にはアルトマンがCEOに復帰。暫定CEOは5日間で二度替わり、取締役会は入れ替わった。

このブロックは編集部が書いた総括です。出典付きの記録とは分けて表示しています。

記録10件
  1. 1
    政策英国政府 / EU

    初の国際AI安全サミットでブレッチリー宣言

    英国が主催する初の国際的なAI安全サミットが、ブレッチリー・パークで2日間の日程で開かれ、初日に「ブレッチリー宣言」が採択された。米国・中国・日本を含む28か国とEUが署名し、フロンティアAIがもたらす重大なリスクについて科学的な共通理解を築くこと、各国がリスクに応じた政策をとることで一致した。宣言は、フロンティアAIを開発する組織には安全性テストや評価を通じて安全を確保する「特に強い責任」があると書いている。サミットには主要AI企業の経営者も招かれ、次回以降を韓国とフランスで開く方針が示された。

  2. 6
    モデルOpenAI / サム・アルトマン

    初のDevDayでGPT-4 TurboとGPTsを発表

    OpenAIが初の開発者会議「DevDay」を開催し、128Kコンテキストウィンドウを持ち価格を大幅に引き下げたGPT-4 Turbo、エージェント的なアプリ開発を支援するAssistants API、DALL·E 3や音声合成のAPI提供を発表した。あわせてChatGPT上で誰でも用途特化型のカスタム版を作れる「GPTs」と、後のGPT Store構想を公開。プラットフォーム企業への展開を鮮明にした。

  3. 15
    文化ケンブリッジ辞典

    ハルシネーションが「今年の言葉」になる

    ケンブリッジ辞典が2023年の「今年の言葉」にhallucinateを選んだ。AIが事実でない情報をもっともらしく作り出す現象を指す語義で、この年に辞書へ追加されたばかりだった。ChatGPTの普及とともに、AIの限界を語るための言葉として一年で一般語になった。現象そのものも繰り返し報じられ、米国では弁護士がChatGPTの作った架空の判例を法廷文書に引用する事件も起きていた。Dictionary.comも同年の「今年の言葉」に同じ語を選んでいる。日本語圏でも「ハルシネーション」とそのまま音写されて定着した。

  4. 15
    製品Microsoft

    自社設計のAIチップMaia 100とCobalt 100を発表

    MicrosoftがIgniteで、自社のシリコン設計拠点で開発した2つのチップAzure Maia 100 AI AcceleratorとAzure Cobalt 100 CPUを発表した。Maia 100はOpenAIのモデル、Bing、GitHub Copilot、ChatGPTといった処理の訓練と推論をクラウドで動かすためのAIアクセラレータで、トランジスタ数1,050億、5nmプロセスとしては最大級のチップとされた。MicrosoftはMaia 100の設計をOpenAIと共有し、大規模言語モデルの処理に最適化されているか確認したと説明している。Cobalt 100はArmアーキテクチャの128コア64ビットCPUで、既存のAzure Armチップ比で40%の性能向上を主張した。いずれもTSMCで製造され、翌年前半からデータセンターに導入される予定とされた。NVIDIAへの依存を薄めるための自社チップという流れに、Google(TPU)とAmazon(Trainium)に続いてMicrosoftも加わったことになる。

  5. 17
    ガバナンス異論ありOpenAI / サム・アルトマン / グレッグ・ブロックマン / ミラ・ムラティ

    OpenAI取締役会がサム・アルトマン CEOを解任

    OpenAIの非営利法人取締役会がサム・アルトマンのCEO解任と取締役退任を突如発表した。理由は「取締役会とのコミュニケーションにおいて一貫して率直でなく、責務の遂行を妨げた」とされたが、具体的な事実は示されず、憶測が飛び交った。CTOのミラ・ムラティが暫定CEOに就任し、会長のグレッグ・ブロックマンも取締役会議長を外れた後、同日中に退社を表明。生成AIブームの中心企業を揺るがす騒動の始まりとなった。

  6. 20
    ガバナンスOpenAI / Microsoft / エメット・シアー / サム・アルトマン

    エメット・シアーが暫定CEOに、社員約700人が取締役会に辞任要求

    アルトマン復帰交渉が決裂し、OpenAI取締役会は元Twitch CEOのエメット・シアーを新たな暫定CEOに任命した。直後にMicrosoftのサティア・ナデラCEOが、アルトマンとグレッグ・ブロックマンが同僚とともにMicrosoftの新しい先端AI研究チームを率いると表明。これに対しOpenAI社員約770人中700人超が取締役会の総辞任とアルトマン復帰を求める公開書簡に署名し、応じなければMicrosoftへ移ると迫った。署名者には解任に関与したイリヤ・サツケバーも含まれ、同氏は関与を後悔すると表明した。

  7. 21
    モデルAnthropic

    Claude 2.1公開、20万トークンとツール利用に対応

    AnthropicがClaude 2.1を公開した。コンテキストウィンドウを20万トークン(約15万語、500ページ超)へ倍増させ、誤った断定の割合を従来のClaude 2.0比で半減させたとした。複雑な文書に対する誤答は30%減、文書の主張を読み違える確率は3〜4分の1に低下したという。あわせて、外部のAPIや検索・データベース照会・計算機を呼び出せる「ツール利用(tool use)」をベータ提供し、応答の方針を指定できるシステムプロンプトにも対応した。20万トークンの利用はClaude Pro契約者に限られた。OpenAIの取締役会騒動の最中の発表となった。

  8. 22
    ガバナンスOpenAI / サム・アルトマン / ブレット・テイラー / ラリー・サマーズ

    サム・アルトマンがCEOに復帰、取締役会を再編

    解任から5日後、OpenAIはアルトマンがCEOとして復帰することで基本合意したと発表した。新しい暫定取締役会はブレット・テイラー(議長)、ラリー・サマーズ、アダム・ダンジェロで構成され、解任に加わったイリヤ・サツケバー、ヘレン・トナー、ターシャ・マッコーリーは取締役会を退いた。11月29日にアルトマンのCEO復帰とミラ・ムラティのCTO復帰、グレッグ・ブロックマンの社長復帰が正式に発表され、Microsoftが取締役会にオブザーバーとして参加することも示された。異例のCEO解任・復帰劇はAIガバナンスの課題を世界に印象づけた。

  9. 22
    研究報道ベースOpenAI / サム・アルトマン

    「Q*」ブレイクスルーが解任騒動に関係とReutersが報道

    Reutersは、アルトマン解任に先立ち、複数のOpenAI研究者が「人類を脅かしかねない強力なAIの発見」を警告する書簡を取締役会に送っていたと、関係者2人の話として報じた。「Q*(Q-star)」と呼ばれる社内プロジェクトが小学校レベルの数学問題を解けるようになり、AGIに向けたブレイクスルーと見る向きが社内にあったとされる。真偽は確認されないままAGI到達をめぐる憶測を世界的に呼び、Q*は騒動を象徴するキーワードとして語り継がれた。

  10. 28
    製品Pika / Lightspeed Venture Partners

    PikaがPika 1.0を公開、動画生成がDiscordの外へ出る

    動画生成のPikaがPika 1.0を公開し、あわせて5,500万ドルの調達を明らかにした。それまでDiscordのボットとして提供していたものを、ブラウザで使うウェブサービスに作り直した版で、3Dアニメ・アニメ調・実写風といった作り分けのほか、生成した動画を延長する、画面の縦横比を広げる、映っているものを差し替えるといった編集の機能を備える。調達はLightspeed Venture Partnersが主導するシリーズAを中心とし、Quoraの創業者やGitHubの前CEOといった個人も加わった。創業は2023年で、スタンフォードの博士課程にいた2人が始めた会社である。公表の時点で、コミュニティは50万人、週あたり数百万本の動画が作られているとした。動画生成は当時、Discord上のボットで試すものという色が濃く、独立したウェブの製品として出てきたものはまだ少なかった。