2024年

5月

9件

編集部の総括

各社が音声と画面に手を伸ばし、OpenAIでは退社が続く

13日、OpenAIがGPT-4oを発表。音声・画像・テキストを一つのモデルで扱い、会話の応答は人と話すのに近い速さになった。翌14日、GoogleがI/Oで検索にAI Overviewsを本格導入。Project AstraとVeoも並べる。20日にはMicrosoftがCopilot+ PCとRecallを発表。画面を継続的に記録するRecallには直後からプライバシーの批判が集まった。

OpenAIでは退社が続く。14日にイリヤ・サツケバー、17日にヤン・ライケ。ライケは安全性の研究が製品開発に押されていると述べ、Superalignmentチームは解散した。28日、ライケはAnthropicへ移る。

20日には音声「Sky」をめぐりスカーレット・ヨハンソンと対立。21日、Anthropicは大規模モデルの内部から数百万の「特徴」を取り出した研究を公表した。

このブロックは編集部が書いた総括です。出典付きの記録とは分けて表示しています。

記録9件
  1. 13
    モデルOpenAI / ミラ・ムラティ / サム・アルトマン

    OpenAI、GPT-4oを発表

    OpenAIがテキスト・音声・画像を単一モデルで扱う新しいフラッグシップモデルGPT-4oを発表した。「o」はomni(オムニ)を意味し、音声入力に人間の会話に近い速度で応答できるリアルタイム音声対話をデモで披露した。GPT-4級の能力をChatGPTの無料ユーザーにも開放した点も大きな転換で、あわせてChatGPTのデスクトップアプリも発表された。

  2. 14
    製品Google / サンダー・ピチャイ / デミス・ハサビス

    検索にAI Overviewsを本格導入、Project AstraとVeoも発表

    GoogleがGoogle I/Oで、検索結果の上部にAIが生成した要約を表示するAI Overviewsを米国で本格導入すると発表した。前年のSearch Generative Experienceの実験を経て、検索という中核事業に生成AIを常設で載せる決断である。あわせて、映像と音声をリアルタイムに理解して応答する汎用エージェントのプロトタイプProject Astra、テキストから1080pの動画を生成するモデルVeoを公開した。ただしAI Overviewsは公開直後から、ピザにチーズを固定するために接着剤を使えと答えるといった明らかな誤答が拡散し、Googleは対象を絞る調整を行うことになった。検索の答えをAIに任せることの難しさと、それが同社の収益基盤に触れる問題であることが露呈した。

  3. 14
    人事OpenAI / イリヤ・サツケバー / サム・アルトマン / ヤクブ・パホツキ

    イリヤ・サツケバーがOpenAIを退社

    共同創業者でチーフサイエンティストのイリヤ・サツケバーが、約10年在籍したOpenAIを退社するとXで発表した。サツケバーは2023年11月のサム・アルトマン解任劇で中心的役割を果たした後、公の場からほぼ姿を消していた。後任のチーフサイエンティストにはヤクブ・パホツキが就任した。サツケバーは「個人的に意義深いプロジェクト」に取り組むと述べた。

  4. 17
    人事OpenAI / ヤン・ライケ / イリヤ・サツケバー

    ヤン・ライケ退社、Superalignmentチームが解散

    イリヤ・サツケバーとともにSuperalignmentチームを率いてきたヤン・ライケがOpenAIを退社し、Xで「安全性の文化とプロセスは、輝かしい製品の後回しにされてきた」と同社の姿勢を批判した。両リーダーの退社に伴い、2023年7月に設立されたSuperalignmentチームは解散し、残るメンバーは他の研究組織に吸収された。安全性をめぐるOpenAI社内の緊張が表に出た出来事として、当時大きく扱われた。

  5. 20
    製品Microsoft / サティア・ナデラ

    Copilot+ PCとRecallを発表、直後にプライバシー批判

    MicrosoftがRedmondでの発表会で、AI処理を端末側で行う新カテゴリ「Copilot+ PC」とSurface Pro・Surface Laptopの新モデルを発表した。目玉機能の一つが「Recall」で、画面のスナップショットを継続的に保存し、過去に見たものを後から検索できる。しかし公開直後から強い批判を受けた。パスワードや金融情報のような機微な情報までそのまま記録してしまうためで、初期版が機微なデータを暗号化されていない平文で保存していたことがセキュリティ研究者に指摘され、問題が決定的になった。Microsoftは6月に予定していた全ユーザーへの展開を撤回してWindows Insider限定に後退させ、その後もオプトイン化、Windows Helloによる認証、使用時に限って復号する方式などの対策を重ねた。一般提供に至ったのは約1年後の2025年である。端末上のAIがどこまで利用者を見ていてよいのか、という論点を最も具体的な形で提示した事例となった。

  6. 20
    ガバナンス異論ありOpenAI / スカーレット・ヨハンソン / サム・アルトマン

    音声「Sky」を巡りスカーレット・ヨハンソンと対立

    GPT-4oのデモで注目されたChatGPTの音声「Sky」が、映画『her』でAIを演じた俳優スカーレット・ヨハンソンの声に酷似していると指摘され、OpenAIは同音声の提供を一時停止した。ヨハンソンは、2023年9月にサム・アルトマンから声の提供を打診されて断ったにもかかわらず似た声が使われたとして「衝撃を受け、憤っている」との声明を出し、弁護士を立てたと述べた。OpenAIは「Skyはヨハンソンの模倣ではなく、別のプロの俳優自身の自然な声だ」と反論したと受け止められている。

  7. 21
    研究Anthropic / クリス・オラー

    大規模モデルの内部から数百万の「特徴」を抽出

    Anthropicが解釈可能性(interpretability)研究の成果として、Claude 3 Sonnetの中間層から人間が理解できる「特徴(feature)」を数百万規模で抽出したと発表した。実運用中のフロンティアモデルの内部を詳細に見た初の事例とされる。特徴はサンフランシスコやロザリンド・フランクリンのような具体物から、コードのバグ、職業にまつわるジェンダーバイアス、秘密を守るといった抽象概念まで及び、画像と複数言語をまたいで反応するものもあった。特徴の強度を人為的に増幅するとモデルの振る舞いが実際に変わることも示され、「Golden Gate Bridge」の特徴を強めたモデルは自分を橋だと言い出した。詐欺メールの特徴を増幅すると安全性訓練を上書きできてしまうことも判明し、危険な能力の監視に使える可能性と、悪用の余地の両面が示された。この特徴を強調したデモ「Golden Gate Claude」は一般にも公開され、解釈可能性研究が広く注目される契機となった。

  8. 21
    政策英国政府 / 韓国政府 / OpenAI / Anthropic

    ソウルのAIサミットで16社が安全性の約束に署名

    英国と韓国が共催したAIサミットがオンラインで開かれ、16社が「フロンティアAI安全コミットメント」に署名した。自社のフロンティアモデルのリスクをどう測るかという安全性の枠組みを公表し、深刻なリスクが「許容できない」と判断される水準を示したうえで、そこを超えないための手立てを説明することを約束する内容である。署名したのはOpenAI、Anthropic、Google、Microsoft、Amazon、IBMのほか、Cohere、Mistral AI、G42、Technology Innovation Institute、Naver、Samsung、Zhipu.aiなど、欧州・中東・アジアの企業を含む。各国政府はソウル宣言を出し、ブレッチリー宣言以来の協力を確認した。

  9. 28
    人事Anthropic / OpenAI / ヤン・ライケ / ジャレッド・カプラン

    ヤン・ライケがOpenAIからAnthropicへ移籍

    OpenAIでSuperalignmentチームを共同で率いていたヤン・ライケが、Anthropicに移籍するとXで発表した。「superalignmentのミッションを続けるためにAnthropicに加わる」と述べ、新チームでスケーラブルな監督(scalable oversight)、weak-to-strong generalization、アラインメント研究の自動化に取り組むとした。ライケはOpenAIの安全性への取り組みに公然と異議を唱えて5月15日に退社しており、その直後にSuperalignmentチームは解散していた。移籍先で報告先となったのはチーフサイエンティストのジャレッド・カプラン。安全性の研究者がOpenAIからAnthropicへ移る動きの一つとして、当時注目された人事である。