2023年

3月

14件

編集部の総括

GPT-4とClaudeが同日公開、研究者らは加速に懸念の声

3月14日、OpenAIがGPT-4を発表。同日、AnthropicがClaudeを一般公開。競争が加速する。月初にはChatGPT APIが公開され、誰でも自分の製品に組み込めるようになった。16日にはMicrosoft 365 Copilotが発表される。

画像生成の動きもこの頃からより活発になる。この月にMidjourney v5とAdobe Fireflyが公開。

前月にMetaが研究用途で公開したLLaMAは、月初に重みがネットに流出。手元のPCで大規模モデルを動かす文化も広がった。

AI開発と導入が加速するなか、著名研究者らは巨大AIの開発を6ヶ月止めるよう求める公開書簡を出した。

このブロックは編集部が書いた総括です。出典付きの記録とは分けて表示しています。

記録14件
  1. 1
    モデルOpenAI

    ChatGPT API(gpt-3.5-turbo)とWhisper APIを公開

    OpenAIがChatGPT製品と同じモデル「gpt-3.5-turbo」をAPIとして公開し、音声認識モデルWhisperのAPIも提供開始した。価格は1,000トークンあたり0.002ドルで、従来のGPT-3.5系モデルより10分の1に引き下げられた。メッセージ列を扱う新しいChat Completions形式のエンドポイントが導入され、あらゆるアプリに対話AIを組み込めるようになったことで、開発者エコシステムの拡大が一気に進んだ。

  2. 3
    モデルMeta

    LLaMAの重みが流出、審査つき配布が崩れる

    公開から1週間で、LLaMAの重みがtorrentとして出回った。4chanに投稿されたマグネットリンクがAIのコミュニティに広がり、同じ日には公式リポジトリにそのリンクを追記するプルリクエストまで立てられている。Metaは流出を否定せず、研究コミュニティとモデルを共有する方針は変えないと述べ、「承認の手続きを回避しようとする者もいるが、現在の公開の仕方は責任と開放性の釣り合いを取れていると考えている」とした。一方で、無断の再配布は著作権の侵害にあたるとして削除要請も出している。審査つきで配るという設計は事実上破られ、誰でも手元で動かせるモデルが出回った。以後の軽量化・微調整の広がりも、公開したLLaMAではなく流出したLLaMAの上で起きた。

  3. 14
    モデルAnthropic / ダリオ・アモデイ

    AnthropicがClaudeを公開

    Anthropicが初の製品としてAIアシスタントClaudeを公開した。高性能な「Claude」と、軽量・高速・低価格な「Claude Instant」の2モデルをAPI経由で提供。「helpful, honest, and harmless(有用・正直・無害)」なAIを訓練する自社研究に基づくと説明し、有害な出力が出にくく、対話しやすく、指示に沿わせやすい点を利点として挙げた。Quora(Poe)、Notion、DuckDuckGo(DuckAssist)、Robin AI、Juni Learning、AssemblyAIが初期の導入先として名を連ねた。同日にはOpenAIがGPT-4を発表しており、生成AIの競争が本格化した日となった。

  4. 14
    モデルOpenAI / サム・アルトマン

    GPT-4発表

    OpenAIが大規模マルチモーダルモデルGPT-4を発表した。画像とテキストを入力として受け取りテキストを出力するモデルで、模擬司法試験で受験者の上位10%相当のスコアを記録するなど、多くの専門的・学術的ベンチマークで人間レベルの性能を示した。ChatGPT PlusとAPI(ウェイトリスト制)で提供を開始。一方、テクニカルレポートでは競争環境と安全性を理由にモデル規模や学習手法などの技術詳細を非公開とし、従来の研究公開路線からの転換として大きな議論を呼んだ。

  5. 16
    製品Microsoft / OpenAI / サティア・ナデラ

    Microsoft 365 Copilot発表

    MicrosoftがWordやExcel、PowerPoint、Outlook、TeamsなどのOffice製品群にLLMを組み込む「Microsoft 365 Copilot」を発表した。GPT-4を含むLLMとMicrosoft Graphの業務データを組み合わせ、文書作成やデータ分析、会議要約を支援する。OpenAIの技術を主力業務アプリへ本格的に統合する取り組みで、「仕事のためのコパイロット」というビジョンを提示した。

  6. 20
    モデルRunway

    RunwayがGen-2を発表、文章だけから動画を作る

    Runwayが動画生成モデルGen-2を発表した。前月のGen-1が既存の動画に別の見た目を当てる仕組みだったのに対し、Gen-2は文章だけ、あるいは画像と文章から動画を作れる。出てくるのは数秒のクリップで、生成には数分かかり、動きもぎこちないと報じられている。3月の時点ではDiscordの待機列に並んだ一部の利用者にだけ開かれ、ブラウザとiOSアプリで誰でも触れるようになったのは6月だった。Runwayは2018年にニューヨーク大学の大学院で出会った3人が始めた会社で、2022年にはStable Diffusionの共同開発者にも名を連ねている。文章から動画を作るものは当時すでに研究の発表としては出ていたが、手を動かして試せる形にはなっていなかった。

  7. 21
    製品Adobe

    Adobe Fireflyを発表、学習データを許諾済みに限る

    AdobeがFireflyを発表した。最初のモデルは画像生成と文字の装飾に絞られている。特徴は中身より学習データの出どころで、自社のロイヤリティフリー素材であるAdobe Stockと、公開ライセンスのもの、著作権の切れたパブリックドメインのものだけを使う。商用利用しても権利の問題が起きないことを売りにした。Adobe Stockの提供者への報酬の仕組みも検討するとし、作品に「学習に使わない」という資格情報を付けて除外できるようにするとも述べている。学習データの無断利用をめぐる訴訟が相次いだ直後の発表で、生成AIの正当性を性能ではなくデータの調達方法で主張する立て方は、以後の各社の説明の仕方にも影響した。

  8. 21
    製品Google

    Bardの一般公開を開始(米英でウェイトリスト制)

    GoogleがBardの早期アクセスを開始し、米国と英国のユーザーがbard.google.comでウェイトリストに登録して使えるようにした。対象の国と言語は順次広げるとされた。Googleが大規模言語モデルによる対話サービスを一般に公開したのはこれが初めてである。ChatGPT公開から約4か月、GPT-4発表からは1週間後という時期で、当初のBardはPaLMではなくLaMDAの軽量版を基盤としており、性能面ではChatGPTに及ばないという評価が多かった。Googleにとっては「まず出す」ことを優先した公開であり、以降のPaLM 2、Gemini投入へと急速に世代交代が進む。

  9. 22
    製品Microsoft / OpenAI / トーマス・ドームケ

    GitHub Copilot XでGPT-4採用、対話型の支援へ広げる

    Microsoft傘下のGitHubが、コード補完にとどまっていたGitHub Copilotを開発工程全体の支援へ広げる構想「GitHub Copilot X」を発表した。基盤モデルにOpenAIのGPT-4を採用。エディタ内で対話できるCopilot Chatをテクニカルプレビューで公開し、プルリクエストの説明文を生成するCopilot for Pull Requests、ドキュメントに質問できるCopilot for Docs(React、Azure Docs、MDNから)、音声で指示するCopilot Voice、コマンドラインを補助するCopilot CLIを合わせて示した。CEOのトーマス・ドームケは、Copilotがすでにコードの46%を書き、開発者の作業を最大55%速くしていると述べた。

  10. 22
    政策Future of Life Institute / イーロン・マスク / スティーブ・ウォズニアック / ヨシュア・ベンジオ

    巨大AI実験の6ヶ月停止を求める公開書簡

    非営利団体Future of Life Instituteが公開書簡「Pause Giant AI Experiments」を掲載した。GPT-4より強力なAIシステムの訓練を少なくとも6ヶ月停止するようすべてのAI研究所に呼びかけ、その間に安全性のプロトコルを策定して独立した専門家の監査を受けるべきだと主張した。研究所が自主的に応じない場合は政府がモラトリアムを課すべきだとも書いている。イーロン・マスク、スティーブ・ウォズニアック、ヨシュア・ベンジオ、スチュアート・ラッセルらが署名し、報道が広がった3月29日時点で署名者は1,000人を超えていた。

  11. 23
    製品OpenAI

    ChatGPTプラグインを発表

    OpenAIがChatGPTにプラグイン機能を導入すると発表した。最新情報の取得、計算の実行、サードパーティサービスの利用をChatGPTから行えるようにするもので、Webブラウジングとコード実行の自社プラグインに加え、ExpediaやZapierなどの企業が初期パートナーとして参加。ウェイトリスト制で段階的に提供され、「ChatGPTのアプリストア化」への期待を集めた。

  12. 23
    製品OpenAI / サム・アルトマン

    初代CodexのAPIを3日の予告で停止

    OpenAIがコード生成モデルCodexのAPI提供を終了した。対象はcode-davinci-002、code-davinci-001、code-cushman-002、code-cushman-001の4つで、告知は3日前の3月20日。移行先にはGPT-3.5 Turboが案内され、プログラミング用途でもそちらの方が優れるとされた。Codexは2021年8月にAPIで公開され、GitHub Copilotの土台になったモデルで、無料の限定ベータのまま、ベータを出ないうちに畳まれた。強い反発が出たのは開発者よりも研究者からで、Codexを使った研究が再現できなくなるという指摘が相次いだ。OpenAI側は「Codexは最初から無料の限定ベータで、厳しい速度制限も付いていた」と説明したが、数日後にサム・アルトマンが「このモデルがこれほど好かれているとは思っていなかった。研究者向けには支援を続ける」と表明し、Researcher Access Programを通じたアクセスが残った。同じ3月23日、OpenAIはChatGPTプラグインを発表している。

  13. 24
    製品Midjourney / Pablo Xavier / エリオット・ヒギンズ

    AIの偽画像が人を騙す、教皇のダウンとトランプ逮捕

    シカゴ近郊の建設作業員Pablo XavierがMidjourneyで作った、ローマ教皇フランシスコが白いダウンジャケットを着ている画像がRedditのr/midjourneyに投稿された。週末にかけてTwitterとRedditで広がり、AIが作ったものだと気づかずに写真として受け取る人が相次いだ。その数日前には、調査報道機関ベリングキャットの創設者エリオット・ヒギンズが、トランプ前大統領が逮捕される場面を50枚ほど作ってTwitterに投稿している。AI生成であることをスレッドに明記し、足が3本になるなどの破綻も含んでいたが、指摘されるまで気づかれずに広がった。Midjourneyはヒギンズのアカウントを停止し、「arrested」を命令文に使えなくしている。背景にあったのは3月15日に出たv5で、報道写真のような画像が出せる水準まで写実性が上がっていた。当時としては、画像生成の受け止めが「絵を作る道具」から「本物と見分けのつかないものを作る道具」へ振れた回だった。

  14. 31
    政策OpenAI / イタリアのデータ保護当局

    イタリア当局がChatGPTを一時停止命令

    イタリアのデータ保護当局(Garante)が、学習データ収集の法的根拠の欠如や未成年保護の不備などGDPR違反の疑いを理由に、ChatGPTによるイタリア利用者の個人データ処理の一時制限を命じた。OpenAIはイタリアでのサービス提供を停止。主要国の規制当局がChatGPTの提供を実際に止めた、当時としては初めての措置である。