2023年

5月

6件

編集部の総括

進むAI利用とNVIDIAの株価急騰

5月1日、人工知能研究の第一人者であるジェフリー・ヒントンがGoogleを電撃退社した。その理由について、自分の仕事の危険性について自由に話すためだと語った。

16日にはサム・アルトマンが米上院で証言し、自ら規制を求めた。30日には「AIによる絶滅リスクを、パンデミックや核戦争と並ぶ優先課題とすべきだ」という一文だけの共同声明に、OpenAI・Google DeepMind・Anthropicのトップが揃って署名している。

一方で、10日のGoogle I/OではPaLM 2が発表され、Bardが180か国に開放された。

24日には、NVIDIAの決算がデータセンター需要で市場予想を大きく上回り、株価が急騰。月末には時価総額1兆ドルに乗せた。

このブロックは編集部が書いた総括です。出典付きの記録とは分けて表示しています。

記録6件
  1. 1
    人事Google / ジェフリー・ヒントン

    「AIのゴッドファーザー」ジェフリー・ヒントンがGoogleを退社

    深層学習の第一人者でGoogleのVP・エンジニアリングフェローだったジェフリー・ヒントンが、10年在籍した同社を退社した。New York Timesの取材に対し、自らが生み出した技術に新たな恐れを抱いており、それについて率直に語りたい、人生の仕事の一部を後悔していると述べた。ヒントン自身はXで、Googleへの影響を気にせずAIの危険性を語れるようにするために辞めたのだと説明している。かつて汎用人工知能までは20〜50年と考えていたが、コンピュータが自らを改良する着想を得る段階に近づいている可能性がある、とも語った。2013年のDNNresearch買収でGoogleに加わった人物が、そのGoogleを離れて警鐘を鳴らす側に立った。技術を作った側の第一人者が公然と危険を語ったことは、当時大きく報じられた。2024年にはノーベル物理学賞を受賞する。

  2. 10
    モデルGoogle / サンダー・ピチャイ

    PaLM 2を発表、Bardを180か国に開放し検索にも生成AI

    GoogleがGoogle I/OでPaLM 2を発表した。多言語理解、論理的推論、コーディングを改善したモデルで、Python、JavaScript、C++、Verilog、Prologなど20以上のプログラミング言語に対応。発表時点でAndroid、YouTube、Gmail、Google Docsなど25の製品に組み込まれているとされた。BardはPaLM 2を基盤に切り替えたうえでウェイトリストを廃止し、180以上の国・地域へ開放。英語に加えて日本語と韓国語に対応し、40言語への拡大を予告した(日本語対応はこのタイミングである)。さらに検索結果に生成AIの要約を出すSearch Generative Experience(SGE)を試験提供として発表した。2月の失敗から3か月で、Googleが自社の主要製品全体に生成AIを載せる方針を示した会である。

  3. 11
    モデルAnthropic

    Claudeのコンテキストウィンドウを10万トークンに拡張

    AnthropicがClaudeのコンテキストウィンドウを9,000トークンから10万トークン(約7万5,000語)へ拡張し、APIで提供を開始した。数百ページの資料や書籍1冊を一度のプロンプトに収められるようになり、財務諸表の分析、法務文書のレビュー、コードベース全体を対象とした試作などが可能になると説明した。デモでは『The Great Gatsby』全文を読み込ませ、改変された1行を22秒で指摘させている。長文処理を差別化点とする方向性を明確にした発表で、以降のモデル間競争でもコンテキスト長が主要な比較軸となっていった。

  4. 16
    政策OpenAI / サム・アルトマン / クリスティーナ・モンゴメリー / ゲイリー・マーカス

    サム・アルトマン、米上院公聴会でAI規制を訴える

    OpenAI CEOのサム・アルトマンが米上院司法委員会のプライバシー・技術・法律小委員会の公聴会「Oversight of A.I.」で初めて証言した。アルトマンはAIモデルへのライセンス制の導入や新たな政府機関の設置など規制の必要性を自ら訴え、IBMのクリスティーナ・モンゴメリー、ニューヨーク大学のゲイリー・マーカスも証言した。AI企業のトップが規制を求める姿勢は大きな注目を集め、米国のAI規制論議の転機となった。

  5. 23
    事業Anthropic / ダリオ・アモデイ / Spark Capital / Google

    AnthropicがシリーズCで4億5,000万ドル調達

    Anthropicが4億5,000万ドルのシリーズC調達を発表した。Spark Capitalがリードし、Google、Salesforce Ventures、Sound Ventures、Zoom Venturesらが参加。Claudeの企業導入を支えるプロダクトチームの拡充、アラインメント技術の研究、10万トークンのコンテキストウィンドウのような新機能の展開に充てるとした。公益法人(public benefit corporation)としての方向性に沿ったガバナンス整備も進めるとした。この年9月には、Long-Term Benefit Trustを公表する。

  6. 30
    政策Center for AI Safety / サム・アルトマン / ダリオ・アモデイ / デミス・ハサビス

    AIによる絶滅リスクを警告する一文の共同声明

    非営利研究機関Center for AI Safetyが、一文だけの共同声明を公表した。「AIによる絶滅リスクの軽減は、パンデミックや核戦争と並ぶ社会規模のリスクとして、世界の優先課題とすべきである」という短い文に署名を集める形式で、OpenAIのサム・アルトマン、Anthropicのダリオ・アモデイ、Google DeepMindのデミス・ハサビス、ジェフリー・ヒントン、ヨシュア・ベンジオら350人以上の研究者・経営者が名を連ねた。開発を主導する当人たちが自社技術のリスクを最大級の言葉で認めたとして大きく報じられた。